UNCE UPON A TIME IN TAIMA

映画をネタ的切り口で適当に書くブログ。更新滞り気味。

すぐイケるファスト映画

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もう10年以上前の話になるがDVDショップでバイトしていたことがある。映画やアニメなど一般向けの物のみならず大人向けDVDまで幅広く扱っていた様な店。

いや、ぶっちゃけて言えば大人向け、アダルトDVDの扱いの方がメインであった。自分は映画好きというのもあってあくまで一般DVDのフロア担当ではあったが休憩で交代に入る際や多忙な時のヘルプとしてアダルトフロアを担当することもあった。

ある日、休憩回しにアダルトフロアでのレジ番をしていた時。とあるお客さんがこんなことを聞いてきたのだ。

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「すみません、ドラマもののAVってどこにありますか?」

 

 

 

ドラマもの………?

はて、そんなものがあっただろうか。

男のどんな性欲にをも対応可能な、とにかく幅広いアダルトビデオの膨大なジャンルの中にも物語性や情緒などを追求したものなどはなかったのだ。少なくとも10年以上前は。

剃髪ものであるとか巨女が虫を踏み潰すだとかとてつもなくニッチな性癖にまで応えてくれるほど膨大な豊富さを持ってしてもだ。つぅかヌクのに物語も情緒も要らねえだろってまぁそういうことなんだろうな。それが10年前の常識であった訳だ。

しかしお客さんの要望には店員として出来る限り応えなくてはなるまい。男である以上はAVの知識は人並みにはあるがそれでも全ジャンルを網羅できるほどプロフェッショナルでもない。店員だからって、あんまり買い被ってくれるんじゃねぇぜ。普段は一般向けDVDの担当なんだ。映画のことなら自信を持って答えられるがアダルトのジャンルは映画なんぞよりも果てなく広い。なけなしのアダルト知識をフル動員して思い付いたタイトルがひとつ。

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『めぞん明歩』

タイトルから分かる通り「めぞん一刻」のパロディAVである。主演はその当時のAVトップスター吉沢明歩。物語性が加味されたAVなんてこういうパロディAVぐらいしかなかったと思う。元ネタに寄せるのに最低限度の物語が付いている、程度のもの。

まあしかしお客さんが求めているのはコレではないだろうと。選択肢を一択しか与えられてない訳だし。さらに頭をこねくり回して考えて考えて……AVという範疇から外れてはしまうが物語性を重視するのならば成人映画であろうと。とりあえず成人映画であればお客さんにタイトルを選ぶ自由を与えられるだろうと。熟女ものやらロマンポルノなど少しマニアックなAVを扱う方のフロアへご案内さしあげた。

でもこれもベストな答えではないなぁとは思ったんだけど。まあしかし致し方ない。お客さんが所望するそのジャンル自体が存在していないのだから。果たしてあのお客さんは自分の望むAVを手に入れられたのであろうか。今もたまに思いを馳せることがある。

 

 

 

 

 

そしてそして時は流れて……現在。

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それが今やどうだ。AVでドラマものというジャンルがきっちりと確立されているのだ。ここ数年ほどの話である。ただヌケればいいってもんじゃねえんだと。物語や情緒がエロにも必要なんだと。あの10年前のお客さん以外にもそう考えている人が大勢いたということだ。需要がなければジャンルとして確立されまい。

まあもうあのお客さんに会うことはないだろうが、遂に自分の望むべき時代が来たのだと喜んでいるのだろうか。もし会うことが叶うならばお客さんに聞いてみたい。

 

「今、あなたは幸せですか?」と。

 

 

 

今やAVでも物語性や情緒を大切にしている。まして早送りしてヌキどころだけ美味しく摘もうなんて人ばかりではないのだというそんな時代なのだ。

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なのにそんなもの関係なく10分で摘んぢまう

ファスト映画!テメェはなんなんだコノヤロウ。エロ親父が物語性や情緒を獲得するまでに至ったのに、それが主であるはずの映画を観る方の意識が退化してどうするよという話なのでした。どうにか最後映画の話で締めてみましたけど。ハイ、お終い。