UNCE UPON A TIME IN TAIMA

映画をネタ的切り口で適当に書くブログ。更新滞り気味。

500円DVDのススメ

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ホームセンターやスーパー、一部コンビニなどで販売されている定価500円のいわゆるワンコインDVD。(プラス消費税によって正確にはワンコインではなかったりするが…)

廉価版DVDの中でも最安値、僅か500円で映画が手に入ってしまうのだ。映画好きとしては御用達となる棚なのではないか…

 

と、思いきや世の中に映画好きは多けれどこの手のワンコインDVDを好んで買うのは一部の好事家に限られると思われる。それはなぜか?

なぜならば殆ど見知ったタイトルなどない不毛地帯だからだ。どんなに映画好きを自負していてもこの棚に並んでいるタイトルを網羅している人などそうそういまい。

 

誰にも知られていないマイナーな映画=つまらないなんてことは決してないのだが、知りもしない映画なんて勿論観たことあるはずもない未知の領域だ。一度観て気に入った映画だから手元に置きたい。それでDVDを買うという趣のものであるからして。いくら安値といえども全くの未知の大海に漕ぎ出す人も少数なのであろう。

 

しかしワンコインDVDもとにかく少なくないタイトルが出揃っている。当たりハズレは大きいにせよ、なんたって500円という安値だ。ハズレを掴んだとしてもちょっとした社会勉強の授業料として考えたら安いものだ。数多くのタイトルの中には貴方にとっての宝物となる映画が眠っているかもしれない。掘り出さずにいるのも実にもったいない。

 

ということで好事家と呼べるほど詳しくはないが、一応この手のワンコインDVDの棚へ時折発掘作業に出掛けるたしなみがある私がワンコインDVDのその商品としての性質や注意事項などについて今回は記していきたいと思います。記事を最後まで読んでくれたならば試しに何か1枚でも買っていただけるとコレ幸い。

 

 

 

パブリックドメインDVD

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まずは作品の品質としては一番信頼できるであろうクラシック名画のDVD。主に1950年代前後のモノクロ映画が多く製作年数が古く著作者の死後から50年70年経過して著作権保護期間が終了したものなどがパブリックドメイン著作権フリーとしてネットにアップされたりこのようなパブリックドメインDVD(以下、PDDVD)として販売されています。

 

このPDDVDこそがワンコインDVDの発祥ともいえるでしょう。クラシカルな名作ばかりなのでハズレは少ない。それでは商品としての品質はどうなのか。その話に入る前にPDDVDではない正規盤のDVDの話をしておきましょう。

 

パブリックドメインといえど元々の製作会社や大手メーカーなどが作品の権利を主張している作品もありそれらのメーカーからはPDDVDの存在は違法ではないにせよ快くは思われてはいません。そりゃ安値で売られてしまえば自社のDVDが売れない訳ですから。

 

正規のメーカーから出されているDVDはPDDVDよりも勿論多少値段は張るものの、HDリマスターされたり特典映像やTV版日本語吹替の追加、Blu-ray版など品質の高さをPDDVDと差別化しておりハッキリと正規盤と商品に掲げているものが多いです。お気に入りの作品を完全保存版として持っておきたいならば正規盤を買うのが良いでしょう。

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この正規盤に比べたらPDDVDは著しく品質が落ちるのは確かです。ではそれがいかほどのものなのか?というのが気になるところでしょう。それではあくまでも私の個人的な感覚による所ではありますがPDDVDの商品としての品質についてお話しましょう。

 

 

まずは画質。正規盤は所有するオリジナルのマスターフィルム、若しくはそれに近い極力高品質なフィルムを用いて本編のマスターを作成します。それに対してPDDVDは上映用に使い回されたものや倉庫に放置されていたものなどバルクなどと呼ばれる状態は良くないが安く手に入るフィルムをマスターに使用しています。

 

無論オリジナルより劣化した画質でありエッジがぼやけていたりノイズなどが見受けられたりします。しかし元々がクラシカルな映画だということもあり普通に観るぶんにはそれほど気にはなりません。少なくとも登場人物の顔すら動きすら分からないなんてことはありません。

 

それよりも視覚的に気になるとしたら字幕でしょうか。これも正規版の翻訳は本編とはまた別に著作権があるのでそのまま使用できず販売するメーカーごとに制作するので翻訳が変わります。名作には名台詞もつきものですがそのニュアンスも微妙に変わってしまう。高名な翻訳家の洗練された台詞に比べると決して台詞のセンスが良いとはいえなかったり文法的におかしかったり誤字などが見受けられたりします。機械翻訳にかけただけというようなのもあるでしょう。全く内容が理解できないとまではなりませんが。

 

そして一番ネックに感じるのは音質でしょうか。高音質などとは期待しないと思いますが全体的にこもった音だったりザーッとノイズが入ったり音が少し途切れるなどこの辺はなかなか厳しい。ホームシアターなど高性能なスピーカーだとより顕著に現れます。字幕で観ている以上は台詞の聴き取りに困ったりはしないと思いますが。

 

こればかりは実際に商品を買って再生してみないことには詳細は分からないのですが少なくとも音質だけは商品によってある程度判断が可能です。

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それは日本語吹き替え版が収録されているタイプの商品。PDDVDの中にも日本語吹き替えが収録されているものがあります。これも正規の日本語吹き替え版とは別に制作されPDDVD制作会社所属の声優さんが起用されており決して演技の質は高くなくお馴染みの声とはいきませんが少なくとも新規に日本語吹き替え版を制作できる程度のクリアな音質のマスターを使用しているということです。日本語吹き替え版が存在する場合はそちらを買いましょう。

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商品としての品質には多少の問題はあるものの作品の質は折り紙つき、気軽に名画を手に取り良ければ正規盤を買うなどワンコインDVDデビューするには一番手軽であると思います。まず間違いのないクラシカルな名作から入ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

その他有象無象

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ワンコインDVD発祥の名作映画DVDのラインナップを今では上回るほど多数のタイトルがひしめくほぼ誰も知らない映画たち。元々ビデオスルーの未公開作品を多くリリースする中小規模のメーカーの作品が数年経ちレンタルのリースも終わった頃にたどり着く最期の流刑地がこことなる。いわゆるB級映画と言われる類の作品であるが本当にピンからキリまで色々とあるので十把一絡げにB級とも言い難い。C級もZ級もありジャンルも様々。

 

今現在のワンコインDVDの市場をカオスな匂いで包み込む要因でもある。ワンコインDVDの世界はこの有象無象の中に飛び込んでからが本番だ。まあ正直タイトルやジャケット観ただけで面白いのかどうなのかさっぱり分からないのだ。果てしない闇が続いている。いやむしろパッ見で面白いと思えるようなものはほぼ皆無に近い。これだけ多数のタイトルが並んでいてどれもピンとこないというのは逆に凄い。

 

何かしらの前知識を持って挑まなければ作品を選ぶのもままならないだろう。そして買ってみなければ分からない。今現在ならばネットでタイトルを検索すれば何かしらの情報は手に入るだろう。この手の作品をレビューする個人ブロガーもいる。でもそれじゃつまらない。混沌とした荒地を自分で切り拓いてこそだ。たかが1枚500円のバクチだ。冒険しなきゃカッコ悪いぜ。

 

だがせめてこの混沌としたウェイストランドに足を踏み入れようという貴方にこの有象無象の中から宝物を掘り出す為の最低限の知識、商品としての性質を伝授したいと思います。

 

 

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まず無難なのは、この有象無象の中に貴方の見知った顔を見つけることです。ほとんど名も知らない映画たちばかりですがその中に曲がりなりにも有名スターが潜んでいます。まず貴方の好きな映画スターの出演作を選んでみてはいかがでしょう。それでもぜんぜん知らないタイトルの場合もありますが。

 

だがしかし有名スターが出演している作品。有名無名に関わらず曲がりなりにもれっきとした商業映画であるということです。少なくとも一定水準のクオリティは期待できる。そういう意味でもまず手に取るのであれば無難なのです。逆を言えば一定水準に満たないような作品も沢山あるということなのですが……

 

あと注意事項として有名スターがデカデカとジャケットに載ってるからといって必ずしも主演作とは限らないということを留意しておいて下さい。あくまでカメオ出演程度の場合もあります。これも買ってみないと分からないのでね。ここは思い切って冒険してみましょう。

 

 

 

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そして次に有名タイトル便乗もの。メジャーな映画のタイトルを拝借した2番煎じ的作品。ターミネーター、エイリアン、プレデターなどいろいろあります。似たような作品に日本のメーカーが勝手に類似タイトルをつけたもの、すでに本国から便乗作品として作られているものと分かれますがクオリティ的にはどちらもどっこいで変わりません。

 

これらはまずネタにはなるのでターミネーター縛りで買い揃えてみるとかしてみてはいかがでしょうか?楽しいと思いますよ。作品が、とは言ってないですよ決して。ええ。言いませんとも。

 

んでこれらの作品はビックリするほど低予算のものが多いです。自主制作レベルのチープな作品まである。そんな作品が海を越えてまでこの小さな島国に渡ってきていることを考えたら大変に興味深いですが、普段メジャーな映画に慣れ親しんでいる人にとっては口あんぐりな世界観が広がっています。

 

そのチープさを独特な味わいと感じ取って笑いにさえ転化できるようになれば貴方も立派な炭鉱夫。映画の穴掘り職人です。この辺は分かりやすい例ですが、基本的にどこかで見たような感じのタイトルが有象無象転がってるのがこのウェイストランドです。そしてやっぱり大体が低予算でチープ。複数本買って観ていけばある程度のクオリティへの諦觀を覚えてこれらの作品に楽しみを見出せるようになるはずです。別にそうなっても誰も褒めちゃくれませんが。

 

でもこのような底辺(失礼)の作品を網羅することでメジャーな映画がメジャーである、ちゃんとお金がかけられているというだけで楽しいと思う思えてくるという副作用もあります。決して無駄にはなりません。より楽しい映画ライフを送れるようになりますよ。

 

 

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さて更に注意事項をば。パッケージ裏の表記。この商品は【画面サイズ16:9 シネスコ】となっていますが実際に再生してみると画面サイズは4:3 上下額縁のシネスコになっています。これどういうことなのかと言いますと……

 

これは廉価版となる前に正規の価格で販売されたパッケージをそのまま流用、だが本編のマスターは廉価版にするにあたりそのまま正規のマスターを使用できずにワンコインDVD用の新たなマスターを作っている為です。恐らく権利料の関係であると思われます。フルプライス価格とワンコイン価格では制作費に大きな差があります。

 

画面サイズは縮小、画質も著しく低下、メニュー画面もチャプターもなし、本編映像のみが収録されているという簡素な仕様になっています。しかも字幕は映像に直接焼き付けられておりON/OFFができない。だがよりによって日本語吹き替えは収録されていたりする場合もあります。でも字幕は消せない。

 

パッケージ記載の商品仕様すら信用できないのです、ワンコインDVDは。でもコレは詐欺でも不良品でもありません。ワンコインDVD特有の仕様なのです。決して販売店にクレームで駆け込まないようにお願いします。

 

ですが全部が全部そうではありません。正規盤となんら変わらない商品仕様のものもちゃんとあります。これもまた買ってみなければ分からない。作品の内容如何だけに関わらずバクチ的な要素が沢山ありますね。うん…この記事を最後まで読んでもらったところでワンコインDVDの購入を勧め難くなってきたゾ。

 

 

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一応パッケージ表記を信じても良い商品もあります。HDマスター版と謳われているものはそれを信用して間違いありません。メーカーもそこまで悪どくはない。やはりこの手の作品はHDマスター版が作られることもあり有名スターが出演している作品ですね。やはりこれらを買うのがまず無難ということですね。商品仕様もちゃんとパッケージ通りのものが多いです。(とも完全には言い切れないのだが…)

 

 

さて、話が長くなりましたが…どうでしょうか?未知の大海へと漕ぎ出す決意は固まりましたか?映画好きなら一度ワンコインDVDの海へと航海してみましょう!!まず握り締めたるは500円!!(正確には消費税分も持って。)

めくるめくアドベンチャーが貴方を待っている!!航海の先には後悔しかないかもしれないが…それでもいいじゃないか!分かり切った人生なんてつまらないぞ!!まとまってるのか?!